Tuesday, October 21, 2008

pomander

ポマンダーってご存知だと思います。現在よく見かけるのは、丸のままのオレンジにクローブを差したもの。
元を辿れば、中世後期から17世紀まで使われた、いわば「匂い袋」でした。

左の写真は、17世紀ドイツのものとそっくりなので、これもドイツ製かも。オレンジを割った形のイメージで、一つ一つに小さいつまみの付いたスライド式の蓋が付いており、違う種類の匂いを持ち運べるようになってます。

中世から近世にかけてのヨーロッパ人は、お風呂にも入らないし、道は汚物だらけ、当然どこへ行っても臭かったわけです。それを緩和するために発明されたのがこれ。そういった意味では日本の匂袋の比ではありません。必須の携帯品だったと思います。

部屋に置くタイプもありましたが、ペンダントとして首から下げたり、絵のようにウエストから下げたりして使います。

人気のあった匂いに、オレンジの花があります。前に紹介した本"Powder and Paint"によると、イギリスではスペイン製のオレンジの香油が非常に人気が高く、輸入も盛んに行われていました。当然税金も高かったようです。

匂いを持ち運ぶと上に書きましたが、中には実際に、龍涎香(りゅうぜんこう)の元であるマッコウクジラの欠片や、ジャコウの欠片などを入れたりしていたようです。非常に贅沢な装飾品でした。

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