Tuesday, September 29, 2009

命がけの美肌ケア


~~~~~~~~~~~~~レシピ~~~~~~~~~~~~~
きれいな、柔らかい鉛の塊を薄く引き延ばし、巻いてロール状にする。
それを鍋に入れる。その時に、鉛が底に着かないように棒などを置いた上に置く。
鉛に”変化をもたらすために”酢を注ぎ入れる。
鍋を鉛の板でフタをし、新しい馬の糞で作った床(とこ)の上に置いて3週間”消化させる”。
3週間後、フタにした板と鍋の中の鉛の両方を、板の上できれいに押し延べて、薄片がすべて出尽くすまでラケットで叩く。
次に、この薄片を臼で砕いて粉末状にする。
水を加えて塊にしたら、天日で乾かす。
出来上がったものに、染料や香料を混ぜて使う。
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以上が、1661年にイギリスである男性が実践した、鉛白の作り方。
そして以下が、この男性が体験した、鉛白作りの際に起こりうること。
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お腹のねじれ、便秘、息切れ、めまい、眉間のひどい頭痛、失明
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すべて鉛中毒の症状です。

出来上がった鉛白は、赤い色を混ぜて口紅や頬紅を作りました。染料としては天然の動植物性の染料のほか、バーミリオンも混ぜてつかわれましたが、これは硫化水銀。
ベネチア製の鉛白が”良質”で人気があり、おしろいの原料としては雪花石膏が人気でして、こちらはフランス製。

鉛白は昔は日本でもおしろいとして使われていましたが、お金にゆとりのある女性はこれらを毎日顔に塗っていたわけです。しかも水銀で顔を洗うこともありました。にきび、吹き出物、普通の肌荒れはもちろん、天然痘を患った女性は顔に跡が残ったので、それを隠すためにも必死だったのでしょうけど、そんなことを続ければ、美人薄命そのままでしたでしょう。

なお当時の美人とは、血管が浮き出るほど色が白く、小さな薔薇色の唇、細くまっすぐの鼻、大きな眼、細いアーチ型の眉、それに広い額の持ち主で、おしろいで白くした肌に血管を描き、口紅を塗り、眉毛も額の生え際もムダ毛を抜いてかたちを整えるのが流行しました。

picture above : from a portrait of Elizabeth I